山林の伐採後について

私の父が最後に山を切り出したのは、今から30数年前でした。

その時に私も伐採からすべての作業を一から経験しました。

山林を伐採して、切り出した後の山には、まず最初に苗を植えていきます。

切り出した山は丸裸になるわけですから、スギやヒノキの苗を購入し植える前の日には、根を水にひたしあくる朝、乾燥しにくいようにわらのむしろ藁筵に包んで背中に背負い山に持っていきます。

苗植えと木の成長

そして山に着くと山の麓から、くわで穴を掘り1本1本手作業で丁寧に掘った穴に根を入れて土をかけていきます。

これを大体1mから2mぐらいの距離で植えていきます。

大きくなればこの感覚は少し狭いように思うのですが、木の苗はある程度密集して植えないと成長するスピードも変わってくるそうです。

やはり他の木より成長が遅くて光が当たらないと枯れてしまうことを植物は知っているので、そこにいる木よりは早く大きくなろうと競争し早く大きくなるのだそうです。

この作業を切り出した山が全部苗で埋まるまで植えていきます。

親父には山が丘になって養分の少ない所にはヒノキの苗谷になって養分が集まるところには杉の苗を植えると教わり、そういう風に植えていきました。

山林は3ヘクタールとかの山林でも斜面になっているので、すごく広く感じます。

木の成長と下草刈り

これをすべて植え終えたら、次の年からは毎年2回下草刈りをします。

切った後の山林はすごく日当たりが良く、草の成長も早いので放っておけば、かやなどに植えた苗がおおわれ、1年下草を刈らないと苗はすぐに枯れてしまいます。

ですから下草刈りは梅雨に入る前とお盆前ぐらいにはきれいに刈り取る方が苗も順調に育ちます。

少し苗が大きくなって下草を光が遮るようになってきたら、下草の生えも遅くなって下草刈りが楽になっていきます。

苗を植えてから4年か5年は下草を刈った記憶があります。

下草を刈り取る必要がなくなった頃には苗も大きくなって、今度は枝打ちが始まります。

木の成長と枝打ち

20年から30年の杉の木を枝打ちと言い、下から出ている枝を木の面に沿ってきれいに払うという作業をします。

もともと板の節というのは、木の枝の根本なので若いうちに枝を払うと成長とともに節はなくなるのです。

ご存知のように節の全くない無地板というのは製材所から購入しようと思っても少しの節があるものとは価格が違います。

この枝打ちによって節の量にも大きく左右するのです。

間伐も最初の頃は毎年行きました。

最初苗はなかなかの密度で植えていますので、すぐに密集して木の成長にとっては窮屈になってきます。

その時にする間伐は、大きくてまっすぐなものを残し成長の遅いものを斬り倒していきます。

これも最初の頃は毎年間伐しなくてはすぐに窮屈になり木の成長に影響します。

苗を植えてからの間伐は最初のころは毎年ですが、10年ぐらいになれば場合によっては2 、3年、間を空けても大丈夫です。

これは木の成長や全体的な山の密集具合を見ながら考えていきます。

こういう若い時にいかに手間暇かけるかが50年以上経った成木となった時に、あまり手間暇かけてない山林とではすごい差が出るのです。

この作業の地道な繰り返しが何十年先の良木に育つのです。

平成30年11月吉日
エムトゥーアール株式会社
代表取締役 寒川善夫

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